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JOURNAL

Interview
2022. 7. 21

【想いをつなげる】信州の雄大な自然の美しさ、動植物と人々の暮らし。レンズを通して感じる大町市の愉しみ方とは…

本サイトのトップページに使用されている、朝焼けに照らされる雄大な北アルプス連山の写真。撮影されたのは、近藤紡績所大町工場で工務課長を務められる大島啓(おおしまあきら)さん。今回は、renmentの糸が紡がれる長野県大町市の魅力について、趣味のカメラを通して大町の魅力を誰よりもよく知る大島さんに、お話を伺った。

北アルプスの朝焼け
——この度は大島さんが撮影された北アルプスの写真をrenmentのホームページで使わせていただき、ありがとうございました。北アルプスは雪山の白いイメージが強かったので、とても幻想的な写真で感動しました。あのように季節によって山の色は変わるものでしょうか?

季節どころか、一日一日の焼け方で山の色が変わりますよ。色をつけたんじゃないかと思うほど赤くなっていたり、グレーにうすくピンクがはいった感じになったりと、毎日色や表情が変わりますね。撮影では色の違いを楽しんだりしています。
——今回使わせていただいた朝焼けの写真も、地元の方じゃなきゃ取れない写真ですよね。

あの写真は出勤途中に車を停めて、ちょこちょこっと望遠カメラを組んで撮ったものです。いつも車にカメラを置きっぱなしにしているので。工場には早くから出勤しますので、その途中で朝焼けとか、綺麗なのを見ると風景を撮りたくなってしまうんです。前は安曇野の方に勤務していて、そちらも常念岳など綺麗な山の形をしているところも多くて素敵なのですが、大町工場からの景色となると迫力が違うんですよね。蓮華岳から白馬三山の方まで全部一気に見えますので、それの朝焼けなどは圧巻ですね。非常に空気がきれいで、特に冬場の満月の夜なんかは、山が雪景色なので浮き出て見える時がありますね。

——想像しただけでも凄そうですね。是非見てみたいです。

これは写真に撮りたいなと…そんな風に思った時は真夜中に鷹狩山の展望台まで車で登って、車で登れない所まできたら、途中から車を停めて、スノーシューに履き替えて深夜の2時ぐらいから登り始めて。上に行くとものすごく寒いのでストーブで暖をとりながら、月が良い位置にくるまで待って撮ったりして、朝まで日が登るのを待つという感じです。完全に冬の装備で登るのですが、向こうへ着いたら更にもう一枚上着を着込んで…そんな感じで、撮って遊んでる感じですね。

——この土地に住んでいる人ならではの撮影方法ですね。

住んでいなくても撮りに来ている方は大勢いますよ。週末になると場所の取り合いになりますからね。3月でも行ったらもうすでに先客がいたり。行って誰もいないってことはあまりないです。
——カメラを始めたきっかけは、どのようなものでしょうか?

もともと凝り性というか集めるのが好きで、収集癖がありましたね。鳥だとか昆虫とかは本物を集めるわけにはいかないので、写真に残しておくという感じで。初めて自分の小遣いでカメラを買ったのは中学二年生のときでした。それまでは親の一眼レフカメラを借りて撮っていたんですが、やっぱり自分のカメラが欲しいということで、当時キヤノンやニコンは高かったので、比較的安いけど色々と機能があったオリンパスを選んだんです。その時買ったカメラは今でも使ってますね。最初は飛行機を撮りたかったので、一眼レフの望遠レンズで撮れるようなカメラを買いました。その後、オリンパスのカメラはマクロ撮影も得意分野だったこともあって、昆虫や野草などを多く撮影するようになりましたね。ちなみに、今日持ってきたカメラもオリンパスです。これはミラーレス一眼で、本体もレンズも小型なので、撮影に行く時は、こういうのをいくつかリュックにポンと入れて持って行きます。元々持っていた昔のフィルムカメラのレンズもつける事ができるので、色々と変えながら楽しんでます。

——中学生からだと相当長く続けていますね。ちなみにカメラは何台くらいお持ちなのでしょうか?

新しいのは、あまり買ったりはしないのですが、30台から40台くらいはあるのではないでしょうか?昔のカメラは、今のデジタルと違ってフィルムを途中で変えられないので、フィルムに合わせてボディを変えていましたから、同じボディのカメラを2~3台持っていました。あと、プロが使うような良いカメラは重過ぎて、体力勝負で負けてしまうので、コンパクトなものを使う事が多いです。そういうことで、昔から色々と使えるオリンパスに愛着があります。昔は大町にもオリンパスの工場があったんですよ。ウチの工場でも「昔オリンパスでカメラ組んでいたんだよ」という人もいました。今もカメラや撮影の話で盛り上がる事もあります。今の50代から60代前後くらいの世代だと一番カメラブームだった頃でしょうからね、工場にも写真好きな人は沢山いますよ。フィルムカメラでプロクラスのカメラ持っている方もいますからね。みんな見せないだけで、私よりよっぽど上手な方がいっぱいいますよ。たまに撮影スポットなどで会いますから。
身近にある自然
——撮影などで大町の自然の事も熟知していらっしゃるようですが、ご出身は長野県でいらっしゃいますか?

もともとの出身は愛知県名古屋です。平成2年に入社しました。会社が大町工場で研修を開始した年の1期生になりますね。もう長野の方が長くなりましたね。海外に行っていた時期もありますが、一番長いのが大町工場になります。

——30年くらい前に入社されてから、この土地で何か変わったところなどはありましたか?

私が来たときは長野オリンピックの前ですので、工場の横の道も細い道でしたし、工場のまわりには家があまりなくてほとんどが田んぼでした。今は工場のまわりにもだいぶ建物が立ち始めましたが、それでも高い建物はないですね。

——高い建物がないのは景観としては良いですよね。やはり大町の魅力は自然ですか?

そうですね。緑が多く自然豊かで、四季の変化を肌で感じられます。季節の流れがめぐりめぐって連綿と続くのを肌で感じながら生活できるという点で、非常に恵まれた環境だと思います。自然が豊かですから、野鳥なども多くいます。この工場の軒先にも、チョウゲンボウって言うハヤブサの小型の鳥が普通にとまったりしていますよ。みんな気づかないだけですが。トンビかな?と思ったらノスリだったり、ハチクマとかそういう大型のタカ類もいます。冬になると工場の周りの田んぼは水が枯れるじゃないですか、その田んぼの中を白鳥が歩いていて、日が登ると工場の上を旋回しています。そういうのも撮ったりしていますね。ウチの子供達とも学校の課題として、バードウオッチングで見つけたキツツキの巣などを一緒に観察したりしました。都会ではできない事が身近な所で簡単にできてしまう。今は、なかなか自然と触れ合う機会が減ってきましたね。自分が子供の頃は、名古屋の実家のすぐそばでもカブトムシやクワガタがとれましたけど。
——長野県の大町と聞くと、雪とか、寒そうとか、山のイメージが強いのですが、実はいろんな顔を持ってそうですね。

例えば、春先は芽吹いた花が一斉に咲きますから素敵ですよ。この場所だったら梅、桜が一緒に咲きますね。それからは新緑への移り変わりが、週単位で感じられます。むしろ、タイミングが合った時に写真を撮りに行かないと。桜なんかは雨が降ったらおしまいですから、降る前のタイミングでさっと撮りに行きます。あと、このあたりは海抜600mくらいですが、さらに少し上がって700~800mくらいになると低山帯になり、植物の種類が変わります。さらにその上に行くと亜高山となって、高山植物が見れます。だから植物の種類もすごく豊富ですね。あと、すぐ隣の池田町なんかは蝶が好きな人たちの中ではとても有名。種類が多く、珍しい蝶がいると聞いてます。植物と同じで、平地帯の普通の蝶も、低山帯、高山帯の蝶も見れる。非常に多くの種類の蝶を1日で見ることができるって事で有名な場所です。蝶の写真撮るのが好きな人にとっては聖地みたいなものでしょうね。
——こういう土地で暮らせるという事に改めて、ありがたみを感じますね。

同じような自然相手の趣味を持っている人からすると、すごく羨ましがられますね。都会の人達は休みの日にしか来れないから、雨だろうとなんだろうと来るしかないけど、こっちに暮らしていれば、気が向いた時とか、シチュエーションの良いときにスッと出れる。朝起きた時に「今日は焼けそうだな(山が朝焼けで綺麗に見えそうだな)」って見てから登ることができるので。地元に住んでる人にとってはそれが当たり前の日常の風景なので「わざわざそんなところ行くの?」と思うかもしれませんが。私は花を撮る時は、わざわざ山まで行かずに、その辺の野原で撮ってるんです。

——大町をすごく楽しんでますよね。お話を聞いてると大町の日常を切り取ってる感じがしますね。

結局、都会と同じ事をやろうと思ってもできないので、それだったらこっちで楽しめる事を楽しんだ方が良いですよね。もともとどちらかというよりも都会の遊びよりもキャンプとかそういった遊びの方が好きでした。そういった意味ではこっちの生活に合ってたのかなと思います。
長野の本当の魅力
——名古屋からここ長野に移り住まれて長いと思いますが、長野の自然以外の「魅力」と言ったら何がありますか?

大町工場も含めてですが、長野の人は議論好きなところも良い点だと思います。面倒くさがらず、いろんなことを根を詰めて話し合いたがる人が多い。特に今みたいに工場で変わった糸を開発しようとしている時など、あーだ、こーだと熱く議論しだす点は、長野県人の気質の良いところじゃないかなと私は思います。それに、長野県の人は真面目ですね。いま工場では若手の教育に力をいれていますが、勉強会でも熱心に学んでいて、若い人がすごく真面目で素晴らしいと感じます。そういうところは、やっぱり長野県民の気質、土地柄だと思います。それと、やはりここに工場があるのが大きな利点だと思いますよ。都会の工場とかで他から入ってきた人達だと、仕事が合わないようであれば他に移ればいいやという考えになりやすいかもしれませんが、それに対して地元の人たちは、自分たちの生活の場にある工場でやっていこうという気持ちがあって、そういう意味で腰を据えて色々と考えて長くやってもらえるという期待は大きいです。地元の人からしたら、そこまで考えてないよって思われるかもしれないですけど、自然の豊かさの魅力と同じくらいに、真面目でがんばってくれる気質をもっている「人」というところも魅力だと感じてます。
——私も長野出身ですが、「人」に魅力を感じてもらえている事は嬉しいです。今後も長野県や人の魅力をお伝えしていきたいと感じました。

お話させていただいた以外にも、本当にいいものは沢山あると思いますね。

―本日は貴重なお話、本当にありがとうございました。

(おわり)

※今回のインタビュー記事に掲載されているご本人のポートレイト以外の写真は、大町市で大島さんが実際に撮られた写真を使わせていただいています。
——Profile

大島 啓 Akira Oshima
(株式会社 近藤紡績所 大町工場)

愛知県名古屋市生まれ。現在は大町工場にて、工務課長として勤務。中学時代から続いている趣味の写真で、今も大町市の魅力を写し続けている。

renment journal vol. 005
【想いをつなげる】信州の雄大な自然の美しさ、動植物と人々の暮らし。レンズを通して感じる大町市の愉しみ方とは…

Date: 11.8.2021
Interviewer: Yuki Shimizu
Text: Yuki Shimizu&Shinji Kobayashi
Photo: Akira Oshima
Portrait Photograph: Shinji Kobayashi
Special Thanks: Kondo Cotton Spinning Co., Ltd. Omachi factory All Staff


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